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Chapter1 知のダイナミクス
知の組織的な創造
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02
03
04
05

06
07
知識創造企業
SECIモデル

ナレッジマネジメント
グループウェア
コミュニティウェア
アウェアネス支援
知の戦略的な活用
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技術経営
企業の技術戦略
知識資産
テクノストック
テクノプロデューサー
情報システム企画
方法論
社会システムとしての知識
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101
102
産業競争力
知的財産権
社会資本
知識創造自治体
政策知
人間力革新
新産業創出

Chapter2 知のエレメントChapter3 知のメソドロジーChapter4 知のエンジン
 

人間力と技術力の二刀流で日本を元気にする
近藤修司
組織ダイナミックス論


元気がない原因は人間力の欠如

日本産業社会や日本企業が「元気がない」といわれて久しい。その根本原因は人間力の欠如である。歴史を振り返ってみても、社会・企業・個人が活力ある状態は自然科学と人文科学のバランスが取れている時である。科学から技術が生まれ、技術から事業が生まれて、マーケットや生活を活性化する。20世紀後半は自動車・エレクトロニクス・IT・新素材・バイオなど自然科学技術が飛躍的にイノベーションを起こし、多くの新産業が創出されたが、一方、人文科学の進化が遅れた。そのために人間は多くの便利マシンに取り囲まれ、人間としての理想追求など、自分を突き動かす力を忘れている。多くの便利マシーに取り囲まれて、便利さゆえに安易な方向に流れ、自己を見失っているところに活力のなさの根本原因がある。東大名誉教授の今道先生はこの点を20世紀の課題として指摘され、哲学・美学・倫理を統合されたエコエティカという新概念の普及を提唱されている。産業社会・企業社会もエコエティカの視点から見直すことが必要である。21世紀は自然科学アプローチと人文科学のアプローチの二刀流を柔軟に使いこなした柔軟な問題解決能力が求められている。自然科学的アプローチは技術力の根幹をなし、人文科学的アプローチは人間力の根幹を成す。特に、日本を元気にするためには人間力の革新が問われている。プロダクトイノベーション・プロセスイノベーションについで、第三のイノベーションであるマインドイノベーションの存在と可能性を知ることである。人間力とは理想を掲げて理想を実現するための革新実践力である。自分自身を突き動かす力といっても良い。


知識科学を学び、閉塞感を乗り越えて日本を元気に

現状の閉塞感はバブル期の成功体験により組織や個人が傲慢になり、人間力の革新を忘れたことにその要因がある。この閉塞感を乗り越えるためには知識科学を学ぶことがスタートと考えている。知識が創造されるプロセス、知識が陳腐化するプロセスを学び、現状の組織や個人を診断してみる。診断することを通じて成功体験で傲慢になり、そのために挫折感を感じ、主体性を失い、やらされ感で業務を遂行している自分を発見するであろう。知識科学を学び、自己を診断することで、現状の事実や将来の可能性が見えるのである。知識科学とは自分を「無」にする学問でもある。自分を無にすることで自分の本来持っている背骨に気づき、マイビジョンをかかげ、お互いにワイガヤでマイビジョンを交流しながら組織ビジョンを共有化して行く。その交流で「やらされ感」が「やるぞ感」に変わり、革新活動に向けて行動を起こして行く。試行錯誤を繰り返しながら、革新活動が成功に結びつく体験をすることにより、自分の真の強みが見えてくる。自分の真の強みが見えることによって、日々進化しようとしている自分に変わっていることに気づく。


ありたい姿・なりたい姿・現状の姿を鮮明に

 個人が「挫折の気分」から「進化の気分」に変わる方策は、徹底して「ありたい姿」「なりたい姿」を思索することである。多くの個人や組織は頭の中で過去を考えている。過去を考えるのでなく、「ありたい姿」「なりたい姿」の未来を考えるのだ。「ありたい姿」とは世のため人のために意味のある普遍的な価値が創造されている状態である。「なりたい姿」は自分のための価値が創造されている状態といえる。「なりたい姿」は事業でいえば「シェアー一位」とか「利益倍増」とかになる。イチローや松井は大リーガーで活躍し「100万ドルプレーヤーになりたい」という。そして「少年に夢を与えたい」という。「100万ドルプレイヤー」は「なりたい姿」であるし、少年に夢をは「ありたい姿」である。「ありたい姿」を宣言してしまうことにより活力が生まれ人間力が高まる。国・企業・個人も同じである。ただし、「現状の姿」をキチと把握しておくことは当然である。
「現状の姿」「ありたい姿」「なりたい姿」のギャップから夢を実現する人間力が革新される。


毎日の成功の宣言文で進化する

 われわれは日々の業務に追われている中で「ありたい姿」「なりたい姿」を鮮明に定義し、宣言するためにはどうしたらよいのか。新しい「知のプラットフォーム」が必要である。従来の仲間だけでなく、外部の志を同じくする新メンバーと常に交流することである。わたしはお互いに感動した体験と目指すべき理想を宣言しあう場として、「成功の宣言文」コミュニティを設定している。自分の人間力の高まった時を振り返ってみても、人間力の高い人と交流し、刺激を受けた時であろう。「成功の宣言文」は毎日が原則で、体験の異なるメンバーが一緒に宣言文を読んでコメントしあうことにより、新しい出会いと共感が生まれ、自分の持っている人間力が引き出されて行く。現代はパソコンやネットワークが一人一人の革新の道具として手に入れることができた。これは人類史上で初めての体験であり、この「成功の宣言文」という「知のプラットフォーム」を活用することによって、楽しみながら新しい出会いを毎日作り、価値増幅ができる。「人間力革新」は新しい人脈の革新でもあるのだ。「成功の宣言文コミュニティ」に参加を希望される方はメールs-kondou@jaist.ac.jpをお願いしたい。


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