300種以上の「創造技法」
日本創造学会によると、創造性とは「異質の情報を組み合わせ、結合することによって、社会的に新しい価値を生み出すこと」と定義されている。ここでそれぞれの組織体(個人、チーム、組織等)にとって未知の問題に対して、創造性を発揮して問題解決することが、本来要求される創造活動であろう。このような創造的問題解決活動のモデルを科学的方法論に則(のっと)ってモデル化し、創造的問題解決のプロセスの基本原理を究明し、それぞれのプロセスを支援するツールを創造性支援ツールとして研究開発し、さらにそのようなツールを使いこなす「知識創造の場」を提供しようというのが、「創造科学」の役割のひとつである。
高橋によると(*42-1)、ありとあらゆる問題を解決するのに用いるのが「創造技法」であり、これは発散技法、収束技法、統合技法、態度技法に分類される▼1。
発散技法には自由連想法(ブレーンストーミング▲法、ブレーンライティング法等)、強制連想法(形態分析法、マトリックス法、属性列挙法、特性列挙法等)、類比発想法(シネクティックス法、NM法等)がある。収束技法には空間型法(KJ法▲、こざね法等)、系列型法(PERT▲法、ストーリー法、関連樹木法等)がある。統合技法にはインプット・アウトプット法、ワークデザイン法、ハイブリッジ法、ZK法等がある。また態度技法には瞑想型法(自律訓練法、イメージコントロール法等)、交流型法(交流分析、カウンセリング法等)、演劇型法(心理劇、ロールプレーイング法等)がある。
創造技法は、世界中で300種以上のものが知られている。世界中で最も多く利用されているのが発散技法であるブレーンストーミング法であるが、日本で最も普及しているのは収束技法であるKJ法である。チェックリスト法や形態分析法も、世界的によく使われている。標準的な創造的問題解決のプロセスを遂行するには、発散的思考支援プロセスでブレーンストーミング法、収束的思考支援プロセスでKJ法、意思決定支援プロセスでAHP▼2、および計画支援プロセスでPERT法を駆使すればよいというのが、創造科学に実践的に携わっている人々の常識になりつつある。
発想支援システム▲は主としてこれらの創造技法をコンピュータ上で実現する支援システムを構築することである。そこで國藤は発想支援システムの体系的分類を行い、発散的思考支援システム▲、収束的思考支援システム▲、アイデア結晶化支援システム、アイデア検証支援システムという4つの分類(*42-2)を示した。発散的思考支援システム、収束的思考支援システム、あるいはそれらの統合技法に基づく発想支援システムの研究開発は、世界中で行われている。38「発想支援システム」の項で詳述する。
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