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Chapter1 知のダイナミクスChapter2 知のエレメント
知識とはなにか
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情報と知識
外在主義
知識の様々なかたち
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知識の表現
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意味論
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コミュニケーション
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コミュニケーション

Chapter3 知のメソドロジー
Chapter4 知のエンジン
 

設計、科学、教育の新しいパラダイム
下嶋篤
知識構造論


情報を物理的実体として表現する

さまざまな規模の情報を、何らかの物理的実体を介して表現する。「情報デザイン」とは、こうした行為全体を指す。帰宅が遅くなる旨のメモを書く。駅へ行く経路を地図に描く。昨日のサッカー試合の様子を身振りで説明する。これらはすべて、右の定義に当てはまる。
しかし、これらだけではない。「情報デザイン」という概念の面白さは、この定義に当てはまる行為が、実に驚くべき広範さで、私たちの生活に深く浸透していることに気付かせるところにある。ウェブページを作る、電子メールで作文をするなどといったことは、単に最近追加された形態にすぎない。電子レンジや洗濯機など、身近の生活器具の表面に付ける使用法表示の設計。非常口表示や駅の案内板など、公的表示一般の設計。新聞や雑誌、電車内やビルの看板に表示する広告のデザイン。マニュアルやノンフィクション、旅行ガイドなどの「情報本」の制作。大小の博物館、博物展などでの展示。ビジネスプレゼンテーションや教室での授業。メッセージ性をもつ芸術作品の制作。ドキュメンタリー番組や映画の制作。研究や調査の目的での数値データの可視化。これらはすべて、先の意味での「情報デザイン」である。
つまり、これらの広範な活動や現象は、その外見や目的の違いにもかかわらず、「情報を物理的実体として表現する」という点で血縁関係にある。そして、このことは、私たちに次のような希望を抱かせる。(ア)こうしたケースのひとつで用いられている方法は、外見も目的も全く異なる別のケースに応用できるのではないか▼1。さらには、(イ)さまざまなケースに共通に応用できる方法論を、比較的少数の原理で体系化できるのではないか。同様に、(ウ)情報デザインを評価する基準や、品質の良しあしを説明する原理が体系化でき、さらには、(エ)生産されるさまざまな種類の表現をうまく利用し、コントロールする方法が、教養や技能の形で体系化できるかもしれない。
こうした体系化ができれば、私たちの生活や社会が受ける恩恵は計り知れない。まさに、「情報デザイン」という概念のカバーする領域の広さが、このことを保証している。実際、(ア)や(イ)のビジョンのもとに、すでにデザイナーたちの連携は始まっており(*25-1)、認知科学の領域での最近の外的表現への関心は(ウ)のビジョンに基づいている(*25-2)。さらに「情報リテラシー」と呼ばれる教育界のムーブメントは(エ)に基づいているように思われる(*25-3)。デザイン、科学、教育と、視点も目標も異なるが、こうした活動が対象にする現象の種類と範囲は、かなり正確に重なり合っているように思われる。

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  情報デザイン▲
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  ▼1
例えば、広告デザインで長く用いられてきた表現手法を、マニュアルデザインの手法として応用したり、教室の授業で用いられている手法をウェブデザインに応用するといったこと。この過程では、当然、各手法の機能と効果についての理論的分析を行い、異分野に応用可能な程度まで抽象化することが必要になる。
 
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