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2023年4月24日号
 
 

4月の新刊

本草奇説
もの言わぬ植物たちも夢をみる

■福井栄一
■B6判変型/丸フランス装 176頁 定価 本体1800円+税
■2023年4月21日発売

邪を避ける桃、人をうむ竹、死者を引きとめる梅。草や花や木にまつわる、不思議で奇妙で滑稽な怪奇譚。竹取物語や古事記から、あまり知られていない説話まで45の短編が大集合。

●●●担当編集者より●●●
牧野富太郎が、朝ドラの主人公になるなどとは、まったく予想外のことだった。本書は、それにタイミングを合わせたというわけではないけれど、折良く世に出すことができた。「雑草という植物はない」とは、てっきり昭和天皇の言葉だと思い込んでいたが、実は雑誌編集記者時代の山本周五郎がうっかり使った「雑草」という言い方を、富太郎がたしなめたエピソードに由来するらしい。一つひとつの植物には、それぞれの物語があるのだ。ちなみに周五郎の小説にも、植物(本草)採集に勤しむ武士が何度か登場する。植物は、ほとんど動かない。動かないように見えるのは、せわしなく動き回る人間の勘違いであり、「人の一日は花の十年」という言葉があるように、花の命は短いし、ときに植物は動物よりも迅速なのだ。しかも無闇に動かないからこそ、その姿かたちは多様である。それでもやっぱり、一見じっとしている植物を物語の主人公にするのは難しそうである。福井栄一さんは、多くの古典の中から、そんな植物たちが活躍する奇譚の数々をていねいに採集して見せてくれた。春「らんまん」の緑の世界を、活字でもぜひお楽しみください。(米澤 敬)

 
 

近刊情報

鳥禽秘抄
天空より舞い降りるのは天使か悪魔か

■福井栄一
■B6判変型/丸フランス装 248頁 
定価 本体2000円+税
■2023年6月16日発売予定


羽ばたく鳥は常世の理に囚われない。トンビが龍を連れ去り、青菜がスズメになり、山野のクジャクは齢100を超える。人を惑わし、恩に報いり、未来を告げ、風の向くまま羽を広げる。十二支から始まった奇譚集、跡を濁さず一旦完結。

 

お知らせ

『てづくりノート』小倉ゆき子さんイベント情報

◆4/27(木)〜4/29(土・祝)まで、東京ビッグサイト 第47回 日本ホビーショーにて、スペシャル企画「手芸デザイナー 小倉ゆき子の生み出す世界」開催。ビーズ&クロスステッチ、リボン刺しゅう、刺しゅうでつくられた 『てづくりノート』 の表紙などの展示やワークショップを通して、手法と素材の奥深さを体験することができます。

◆5/16(火)〜5/20(土)まで、銀座・千疋屋で個展「小倉ゆき子 糸たちからのメッセージ ふたたび」が開催されます。

◆刺しゅうの雑誌「ステッチイデー」(日本ヴォーグ社)で 『てづくりノート』 が紹介されました。 詳細はこちら。

 

kousakusha TOPICS

◆朝日新聞「be report」で、「ジェンダード・イノベーション」が取り上げられ、提唱者である米スタンフォード大学ロンダ・シービンガー教授と主著 『科学史から消された女性たち』 も紹介されました。

◆荒波力 『生きねばや』 月刊「俳句界 4月号」と静岡新聞の「著者訪問」で紹介 されました。

◆ 杉浦康平 『本が湧きだす』 月刊「大東書道」にて、古賀弘幸氏に書評 していただきました。テーマの一つが「デザインはコミュニケーションでの相互認知の中で生み出されることである」と評されています。

◆『ユリイカ4月号 特集=牧野富太郎の世界』の表4に最新刊の 『本草奇説』 、既刊 『花の知恵』 『江戸博物文庫 花草の巻』 『植物の神秘生活』 の広告を出しました。 広告はこちら。
また、週刊読書人4/21号牧野富太郎特集にもデザインを変えて広告を出しました。

◆4/16(日)に雑司が谷で開催された 「みちくさ広場」に出店 しました。急なヒョウに見舞われたなかで、たくさんの方にご来場いただきました。ありがとうございました。 タイガー立石バッジ が好評でした。

◆note連載「桃山鈴子 イモムシ本製作記」より 「春だ京都だイモムシだ!桃山鈴子さん新作展レポート」 を更新しました。

【編集後記】
●今号より、メールニュースを担当する田波奏平です。11月からアルバイトで入り、4月からピカピカの新卒として入社しました。移動中の大半を映画を見て過ごしています。好きな映画は『3時10分、決断のとき』『舟を編む』『NEXT—ネクスト—』です。映画で使われたテーマ、役者、音楽、手法などの題材から、関連性を辿りながら本を探すのが好みです。
●入社する際の社員紹介で「工作舎の人たちは大人しいから、田波くんは元気でとても良いですね」と言われましたが、社員の人たちは微塵も大人しくありませんでした。社員の誰かと話す度に8割方笑いが止まらなくなっています。
●最後になりますが、この赤裸々な原稿は配信テストの際に社内全員に見てもらうので、怒られないことを祈ります。では、来号もよろしくお願いいたします。
後後記:怒られませんでした。【田波】